酸化還元反応は、もっとも身近な化学反応です。
やっと、本格的な化学反応の学習の始まりです。
酸化還元反応とは電子の奪い合い
酸化還元反応とは、電子の奪い合いの反応のことです。
原子の外側に電子がビュンビュン飛んでいて、その外側の電子が奪われたり、うばったりする。
あれ??
原子は電子を共有して結合するのではないの??
と思われる方もいらっしゃるでしょう。
実は、原子と原子は、一見、電子を共有しているように見えて、実は力関係があるのです。
いじめっこが、弱いほうをむりやり引き連れて、先生の前では
「僕たち仲良しですから(にっこり)」
とやっているようなものです。
いじめられている方の表情は、泣きそうな顔です。
これと同じことが原子同士の結合にも起きているのです。
一見、電子を共有しているように見えて、その実は、どちらか一方に電子は偏っているのです。
このように、酸化還元反応は電子の奪い合いの反応なのです。
電気陰性度:元素ごとの電子を引っ張る力
元素ごとの電子を引っ張る力を「電気陰性度」といいます。
元素ごとに電気陰性度が異なるので、電子の奪い合いが起きるのです。
酸化とは元素が電子を失ってプラス電荷を帯びる反応
酸化は、元素が電子を失って(奪われる)、プラス電荷を帯びる反応の方です。
電気陰性度が弱い元素は、強い元素に電子を奪われ、酸化します。
還元とは元素が電子を得てマイナス電荷を帯びる反応
還元は、元素が電子を得れ(奪う)マイナス電荷を帯びる反応の方です。
電気陰性度が強い元素は、電子を奪い還元します。
酸化数:元の原子と比べてどれだけプラス電荷を帯びているか
酸化数は、元の原子と比べてどれだけ電荷を帯びているかを表す数字です。
酸化は、電子を失うので、プラスの電荷を帯びます。一つの電子を失うと、酸化数は「+1」です。
還元は、電子を奪うので、マイナスの電荷を帯びます。一つの電子を得ると、酸化数は「-1」です。
たとえばCH₄
炭素原子Cの電気陰性度はHより強い(原子核のプラス電荷が大きいから)ため、電子を奪います。
酸化数は-4。
次にCO₂
炭素原子Cの電気陰性度はOより弱い(原子核のプラス電荷がOより少ないから)ため、電子を奪われます。
酸化数は+4
CH₄がCO₂に変化した場合
酸化数は-4⇒+4
炭素原子Cは電子を奪われたため、「酸化」しました。
酸化とは酸化数が増加する反応
酸化とは酸化数が増加する反応のことです。
酸化とは、電子が奪われる反応ですよね。
酸化数は、元の元素に比べてどれだけ電荷を帯びているか⇒奪われた電子の数、です。
つまり
酸化数が増加⇒電子が奪われる⇒酸化
というわけです。
このように、酸化とは、酸化数が増加する反応なのです。
酸化という言葉が、酸化還元を分からなくする
酸化という言葉が、酸化還元を分からなくします。
酸化還元は電子の奪い合いなのですから、電子化とか、そんな感じのネーミングだったら良かったのですが…
なぜ、電子を奪われることを、「酸化」というのか??
最初は、「酸素と結びつく反応を酸化」といったからです。
たとえば銅が酸素にずっと触れているとサビます。
酸素は価電子が6なので2個の電子を奪いやすいです。
銅は最外殻電子数は2です。
そのため酸素原子に奪われやすいわけです。
後になって、酸素と結びつく反応は、酸素原子から電子を奪われることが本質であることが分かったわけです。